洞口依子の女優デビュー作であり黒沢清作品での出発点でもある本作は、1984年、にっかつロマンポルノとして製作されながらお蔵入りになった『女子大生恥ずかしゼミナール』が一般映画として大幅に改変されたもの。そしてその変容がもたらした際立った個性が、現在もなお観る者を惑わせ惹きつけてやまない。

ここでの洞口依子の清冽なエロティシズムはこれからも語り継がれていくだろう。その瑞々しい笑顔や軽やかなステップ(「クルってまわる練習」!)の奥にある物憂くも鋭いエッジは、ここで見出されたと言える。それは現在にいたるまで表現者としての彼女の核であり続けている。

1985年

製作=EPIC・ソニー、ディレクターズ・カンパニー 

カラー 80分

監督;黒沢清

脚本:黒沢清・万田邦敏

出演:洞口依子、伊丹十三、加藤賢崇、麻生うさぎ、暉峻創三、岸野萌圓

洞口依子の女優デビュー作の相手役であった、というのは、ぼくの人生を通じて最も誇れる事実です。選んでくださったのは黒沢監督ですが、なぜか洞口に選ばれた、ような錯覚さえ覚えます。洞口に魅力を感じるファンの方々も、自分が他の女優の中から洞口を選んでるのではなく、自分が洞口に選ばれてる存在だ、という気分を味わっているのではないでしょうか。

俳優・ミュージシャン/加藤賢崇

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「ネェ、清水ゥ〜。依子が裸になってるよ・・・」

「シィーッ!うるさいですよ」

「ネェ、大丈夫なの?」

「うるさいんですヨッ。本ぐらい読んできて下さいよ・・・」

「本って、台本のこと?『ドレミファ娘の血が騒ぐ!』ってやつだろう?読んだんだけど・・・、裸になるって書いてあったっけ?」


新宿駅南口から甲州街道を歩き、山手通りを越えて間もなく右手に時間から取り残されたような古びた、壊れかけた洋風の建物があった。

女優洞口依子の初めての作品が、その中で撮られていた。

「ネェ、清水ゥ〜。黒沢監督に言ってみようか?オッパイはダメじゃないんですか?って・・・。黒沢監督って、黒澤明さんの親戚筋なの?」

「ホントにうるさいんですって!もぉ〜、帰って下さいよッ」


映画業界出身の清水君は、さすがにどんな場面でもひるむことはなかった。

しかし、音楽が専門の私にしてみれば、いきなり自分の娘のような女の子が映画デビューだという撮影で、オッパイを出しているというのはかなりの衝撃であった。


あれから四半世紀という言葉を使えるくらいの長い時間が経った。

洞口依子のキラキラした視線の先に何が見えているのか知りたくて今日まで時間が過ぎてしまった。

今でも、キラキラした視線は何かを見据えているようだ。

依子の目には何が見えているのだろう?


音楽プロデューサー (元EPICソニー洞口依子担当プロデューサー)

/前田 仁

芸能生活25周年&映画祭の開催、おめでとう。

『女子大生 恥ずかしゼミナール』と題されていた『ドレミファ娘の血は騒ぐ』で撮影現場を共にし、出会ったのが84年。撮影中から格別の存在だったけど、凄いのはその仕事が終わっても付き合いは終わらなかったこと。

以来25年、いつも僕に新しい刺激を与え続けてくれ、ある時には香港と香港映画の魅力を説き、ある時には僕の知らなかった音楽を次々に聴かせ、フィルムセンターが炎上(ボヤみたいなものでしたが)した時には現場から第一報をくれた。これからもずっとずっと、僕を触発し続けてくれる存在でいてください!

暉峻創三

上映スケジュール

11月14日(土)

12:35/16:05/20:25(終映21:45)

11月17日(火)

13:15/17:00/20:45(終映22:05)

11月20日(金)

12:55/16:20/19:45(終映21:05)

寄って良し、引いて良し、バストショットで更に良し、もちろんクローズ・ショットもばっちり決まる、まぎれもない日本映画の逸材であるが、洞口が画面に登場したとたん、映画が日本映画ならざる何かに変貌する瞬間がある。映画そのものになる、と言ってもよいだろう。不思議な女優である。

スタディスト/岸野雄一